今回は再び釣友のI氏が登場します。
既に30年ほど経ってしまった話ですが、あまりにも衝撃的なことなので、よぉ~く覚えているエピソードのひとつです。
当時は日本も景気が良く、ボクも今では考えられないような釣り待遇?に恵まれていました。
なんと知り合いの会社の社長さんが、とある場所の毎年一泊の宿代と釣り船のチャーターをしてくれていたのです。
名前は伏せておきますが、社長と幼馴染の漁師で、民宿をしている船宿に毎年行っていました。もちろんタダで。
時にはボク一人では勿体無いので上司で釣り好きのI氏と一緒にゴチになりに行くのでした。
(今はもうそんな美味しい話はなくなりましたが・・・)
そのころは社長、船長、I氏、それとボクの4人で遅くまで飲んでカラオケ(当時はエイトトラックのテープパッケージと歌詞カード)で騒いで、翌日はいつも二日酔いで沖に出たものです。
船長が「あぁ~気持ち悪ぅ~ ゲロゲロ~」ってこともありました。
その原因を作ったのが、囲炉裏で焼いたイカを肴にしての宴会なのです。
都はるみくりそつ(マジそっくりで歌も上手)の女将さんが「船に生かしてあるイカだよー」ってザルに入れて持ってきたのが、かの高級な「アカイカ」です。
船長の話によると、カンパ(カンパチ)釣りのエサにするイカだそうで、それはもう「まいう~」そうなアカイカ。
イカをつかんで、そのまま炭火の焼き網の上へ置くと・・・あとは言わなくてもいいでしょう。
うっすらと焦げ目が付いたころ、エンペラのてっぺん(三角形のところ)をガブッ!
前歯で噛みながら、中にある透明な芯(プラスチックのようなやつ)をスーッと抜き取ります。
それから醤油をちょっと付けながら、おもむろに胴の方へとかじっていくのです。
胴の半分ぐらいのところで、「あったりぃー!」と大声を出すか、小声で「はっずっれぇー」とつぶやくかが決まります。
当たりはメスで、ご飯粒のようなホコホコした卵入り。
ハズレはオスのイカで白子入りなんです。
どちらも美味しいんですが、やはり飯粒に軍配があがります。
身もだえしながら昇天したイカですから、残るのは芯と硬いトンビのとこだけでないとねぇ。
そこまで食べてあげれば、アカイカも成仏してくれるというものです。
帰りは二日酔いで釣り上げたキンメダイをお土産に持って帰るのがいつものパターンでした。
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