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神津島でのイシダイ釣りby拾ったサザエ【第十一話】モーセK師の爆裂釣行記

20年前の釣りシーンが蘇る!モーセK師の爆裂釣行記
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これから伊豆諸島での話がよくでてくることとなりますが、前回第十話で大島の話の中にも書いたように島嶼(とうしょ)へは自分から進んで出張(仕事)していました

 

 

ボクが釣りキチになったのは、島嶼の荒磯での本格的な磯釣りが原点なのです。

 

 

今では磯釣りよりも沖釣りが専門となってしまっていますので、磯釣り用のタックル達が夜泣きしています。

 

 

真夏の神津島での話です。

 

 

島での二泊三日の仕事が終わり、後は帰京するだけで明日は休日の土曜日という金曜日の夜、扇風機(当時、島の民宿にはクーラーは無い)で暑さをまぎらわせながら、磯釣りの準備をする5人の姿がありました。

 

 

東京から一緒に行った工事会社の釣友でもあるT社長、作業員3名、そしてボクの5人です。

 

 

島での仕事は金曜日に終了するように、計画的に設計されているとは誰も知らない・・・ハズ。

 

 

 

 

さあー、土曜日!誰に気兼ねすることなく、大手を振って磯に立てるってものです。

 

 

4時に起床し、前夜のうちに宿の女将が作り置いてくれたお弁当やお茶、ビールにつまみ、氷をクーラーに納めて宿のライトバンで港へ出発。

 

 

港には「磯渡し」の船(島ではチャカという)が待っており、大急ぎで荷物を積み込み、すぐに出港。

 

 

港を出て、島を左にほぼ1/4周したところの磯に、ショック吸収用の古タイヤで武装したチャカの舳先(船の先端)を押しつけながらの着岸です。

 

 

次々と手渡しで荷物を降ろし我々も上陸した後、船長が「じゃ5時に迎えに来るから」と言い残し、帰っていきました。

 

 

そこは陸路からは行くことのできない断崖絶壁の岩磯です。

 

 

何はともあれ磯釣りで一番先にやることは、コマセ打ち(寄せ餌撒き)なのです。

 

 

我々もセオリーどおりにコマセ(オキアミ)を打ちながら、タックルのセッティングを進めます。

 

 

完全に明けた空は雲ひとつ見当たりません。

 

 

なんか大漁の予感・・・心はルンルン気分で準備完了。

 

 

コマセを打つ都度、海面がザワつくようにムロアジ(あまり美味しくないがクサヤの材料)が乱舞します。

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このエサ取り(外道)の下に、警戒心の強い本日本命の「メジナ」や「シマアジ(大型はオオカミ)」が潜んでいるのです。

 

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釣り開始から投入する度、釣れてくるのはムロアジばかり

 

 

エサの付いた仕掛けが下へ届く前に、ムロアジが食いついてしまうのです。

 

 

釣れ過ぎで大漁は大漁なのですが・・・ムロばかりじゃどうしようもありません。

 

 

ボクの横では、釣り飽きてしまった釣りド素人の作業員3人が、セッセとムロを開いて干物作りに専念しています。

 

 

そのうち、ムロはコマセの食い過ぎで腹が一杯になったら、どこかへ行ってくれるだろうと思い、コマセ無しで仕掛けを振り込んでみますが・・・ダメ・・・今度はなんも釣れん。

 

 

それにしても暑い!無風でカンカン照り!キンキンに冷えた缶ビールが美味いのが救い!

 

 

暑さにたまりかね、岩場のタイドプール(水溜り)の水浴びでしばしの休息です。

 

 

ふと足元に転がっている物を手にして「エッこんなとこにサザエが!」それが3個も。

 

 

ンなとこにサザエが生息しているわけがありません。

 

 

これは先客の釣り人が残していったイシダイ釣り用のエサなのです。

 

 

イシダイ釣りには、このサザエやトコブシ(アワビを小型にしたような貝)、ウニ、イセエビ、などと高級食材をエサにするのです。

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それをイシダイはクチバシのようになった強い口と歯で噛み砕いて食べます。

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ボクは小躍りしてそのサザエを拾い、イシダイ釣師にヘンシーン。

 

 

タックルを大物用にチェンジし、岩角で砕いて取り出した身を付けての第一投.

 

 

さすが、これにはムロも食えずすんなりと海底へ届きました。

 

 

待つこと5分でしたか、竿先がクンクンと魚信を伝えます

 

 

あせっていたこともあり、そこで大アワセ(グイッと竿を上げる動作)をくれてしまい痛恨のバラシ(逃げられる)。

 

 

エサは取られているところをみると・・・居る!絶対に居る!

 

 

社長も作業員も見物者にヘンシーンです。

 

 

エサを付け直しての第二投!

 

 

しばらくして、クンクン・・・クン・・・クククク・・・まだまだ。

 

 

そしてクンクンがグングンになり、ついにグーン!と竿先が水中に!

 

 

ここでアワセ!グイグイギュンギュンと竿を絞り込む魚の引きが伝わってきます。

 

 

これだよ!この引き!たまんなーい!

 

 

しかし、この感激が落胆に変わってしまいました。

 

 

上がってきたのは、なんと1mほどもあるドでかい「ウツボ」です。

 

 

ウツボは獰猛で海のギャングともいわれ、我々釣師にとっては大の天敵なのです。

 

 

さっきのアタリもこいつだったのかなぁーと思いつつ、最後のサザエを付けての三投目。

 

 

またクンクンのはじまりです。

 

 

なんとかイシダイであってくれぇ~。

 

 

今度はクンクンからいきなりグイーッ!

 

 

すかさずアワセをくれて、魚との攻防戦の開始です。

 

 

ウツボの引きとは完全に違う強い引き込みを味わいつつ、ドラグ(魚の引きに応じてミチイトがすべって出ていく装置)を効かせての慎重なやり取りで、ついに波間に現れたその魚影は!

 

 

 

「Kさん!ホンイシ!ホンイシだ!」とタモを構えた社長の叫び声で、胸の高鳴りが倍増です。

 

 

ホンイシとは「イシダイ」のことで、魚体が同じだが模様が違う「イシガキダイ」と区別していう呼び名なのです。

 

 

ついにやりました!磯釣りマン憧れのイシダイを釣り上げました。

 

 

50cm、2,6kgのホンイシです。

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これは釣ったのではなく、まさに「釣れてしまったイシダイ」と言って間違いないでしょう。

 

 

こいつのクチバシはボクのお守りとして、今でも愛車(LEXUS RX300)のミラーにぶら下がっています。

 

 

ところで、たくさん作ったムロアジの干物は全部腐ってしまいました

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迎えにきたチャカの船長曰く「こんな暑くて風の無い日に干物はできないヨ」

 

 

当たり前だね。

 

第1話から読む

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