第十話でも登場した上司でもある釣友I氏がまたも登場です。
仕事関係でお付き合いのあったO社の社長さんの接待?により、社長の幼馴染で岡田港で漁師をしている○○丸(民宿併営)でドンチャン騒いで宿泊し、翌早朝に沖釣りに出ました。
ボク、I氏、社長、船長の4人で日付が変わるころまで、しこたま飲み食いしての早朝出船はこたえますなぁーホントに。
当時の○○丸は今のように遊漁船ではなく、れっきとした職漁船で早い話が漁師のお手伝いって感じでした。
港から30分ほどの沖(利島のすぐ近くが漁場)で4月にはオフとなるキンメダイを釣るのです。
この魚が群れているタナは300m前後と非常に深いところです。
サバの切り身やイカの短冊切りをエサとして付けたハリの数は、遊漁ではせいぜい10~15本なのですが、さすが本職!なんとその数35~40本。
オモリは300号(2合徳利ほどの大きさのナマリ製)に見合った鉄筋!
船長の合図で鉄筋を海へ放り込みます。
エサの付いたハリがバッバッバッバッと勢いよく飛び出していきますが、ここで体のどこかにひっかかろうものなら大怪我間違いないって場面です。
船長は沈み行く仕掛けの角度、潮の流れ、風向き、魚探が示す海底の様子や魚群の反応を確認しながら操船します。
およそ10分ほどで着底を感じ、船を前進させながら海底の仕掛けがキンメダイが群れるタナになじむようにするのです。
ミチイトを手で触っていると、魚が次々とエサに食いつく様子が伝わってきますが、これぞまさしく「手に取るように」わかるってことでしょうか。
この状況を想像してみてください。
東京タワーのてっぺんから333m下の地上まで仕掛けを下ろし、それをかけ上がりに沿って延わせるということは、ミチイトの長さは1,000mを超えてしまうのです。
300m超の深場釣り(アコウダイ、キンメダイ)用として、各メーカーからマニア向けにリリースされているCPUフル装備の大型電動リールをはじめ、まるでワイヤーのように延び率が極端に低い極太PE系ライン(ミチイト)、オモリ負荷300号のロッド、頑丈なロッドキーパー、仕掛け投入治具(仕掛け巻き)などワンセット揃えると100万円でお釣りが少々・・・これはもう趣味の範疇ではなく、れっきとした道楽ですね。
話を続けますが頃合いを見て船長の「巻いて!」の声でステッキ型のレバーをON!
イカリを上げるような大型電動ウインチが唸りながらミチイトを巻き取っていきます。
巻き上げ開始から30分ほどで仕掛けの接続部が見えてきます。
ほどなく良型のキンメダイが次々に上がってくるのをI氏と二人で手際よくハリから外し、大型のタルに納めるのです。
海から上がってきたてのキンメダイの体色は白っぽいのですが、5~6分後には鮮やかな紅色(朱色)に変わり、魚名のとおり金色に輝く大きな目玉が映え、本当にきれいな魚です。
一回の投入で40~50cmクラスの良型キンメダイが30枚前後上がります。
この魚の時合(釣れる時間帯)が午前中のため、三回の流しで終了ですが、投入準備⇒投入⇒着底⇒仕掛けのタナ合わせ⇒巻上げ⇒取り込みまでの一回分に二時間も要するので三回が限度なのです。
そして一人に10枚もの良型キンメダイを塩氷と共に大きなトロ箱(発砲スチロール)に詰め、クール宅急便で家へ直送するのです。
ときには、前夜の残酷焼きから逃れたアカイカもトロ箱に入っていたことがありました。
今では40cmクラスの伊豆大島産キンメダイ一枚のお値段は3,000~4,000円ってとこでしょうか。
ところで、10枚もの良型キンメダイどうすんのサ?
そんなご心配は無用です。
我が小家には当時からマイナス50度を誇る専用冷凍庫(ダイレイ社製フィッシュBOX〔内容量60L〕)があります。
昨年の暮れ(平成16年12月)にコンプレッサーが故障してしまったので、今度はマイナス60度で内容量70Lの機種に取り換えました。
インド洋などの遠洋で冷凍されたマグロと同じで、じっくりと自然解凍させれば、いつでも美味しく食べることができるってことです。
そんなこんなでI氏とは、ことあるごとに「毎年、○○丸へ漁師の手伝いに行ったなぁー」なんて話が出てくるのです。
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