前回の第十五話に続き、新島での話です。
例によってAさんの迎えのクルマで「植長丸」に朝5時に着き、準備を始めましたが見渡すところ、島一番を誇る大型遊魚船「第3植長丸」に乗船したお客は、ボクら3人プラス山梨から来たという2人連れの5人という余裕たっぷりの状況です。
船宿の女将さんの話では、昨日のシケで10人ばかり予約のキャンセルがあったとのことでした。
5時半に離岸し、向かうは6月と同じ利島寄りのポイントです。
昨日と打って変わって風は無く鮮やかな朝の青空。
しかし、押し寄せるうねりがハンパじゃなく、5mくらいの落差はありそうで、「天気晴朗なれど波高し」ってとこですか。
船長は「昨日の余波だから直に静かになるヨ」と言って平然と横波を受けないように操船しています。
当日はイカリを入れる「かかり釣り」ではなく、潮に乗せた「流し釣り」で攻めるとのことです。
ボクら3人は手釣りで、山梨の2人組は竿釣りでスタートしました。
コマセが効き始めたのでしょう、竿釣り組がポツポツとイサキを取り込んでいるようです。
昔から「イサキはタナを釣れ」(よく似た言葉に「メバルはナギを釣れ」がある)といわれているように、イサキは仕掛けがタナから50cm違っただけで釣れないことがあるのです。
うねりで船が大きく上下しますが、その差をうまく竿の操作で補正できるから、竿釣り組が有利というのが明白です。
船長が言っていたとおり、やがてうねりが小さくなり手釣り組にも頻繁にアタリがくるようになりました。
こうなったら手返しのよい手釣り組が有利です。
良型イサキの入れ食いモードって感じですが、いかんせん潮の流れが速く、一流し2回の投入で船を元位置へ戻すローテーションのため忙しい釣りになってしまいました。
船を回し終え、船長がマイクで「ハイヨー!魚探は千円札で真っ赤だヨー!」の掛け声で発奮したのを思い出します。
港の漁協で購入したトロ箱に4等分に仕分けしたイサキを詰め、それぞれ持ち帰りました。
帰宅後(夜10時頃)全部捌いて、その内の一尾だけサシミにしましたが、「ン?なんか味が薄いなあ~」。
そうなんです、夏に卵や白子を出しつくしたイサキは体力回復の理由から、荒食い(今回はシケ後の荒食いもあった)するため数は釣れるのですが、脂の乗りがイマイチなのです。
船長は魚探を見ながら「イサキは千円札!」と言っていましたが、この時季のボクの評価は「5百円札」ってとこでした。
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