前回のあらすじ
小型船舶2級筆記試験をゆる~い感じで終えたグリーン。しかし実技試験はそこまで甘くはないぞ!激闘開始!!
試験官は一見優しそうな感じのお方。しかし私には分かっています。
このタイプは「怖い」。全ての人間におびえながら生きてきた私には「兎」の能力が身についています。目を見ればその人がどんな人なのかすぐに分かるようになってしまいました。
何というか目が、「甘ったれた態度とるならヤッちゃうよ?あ?」的な雰囲気を醸し出しています。赤犬はこちらとみました。
油断は一切できません。最大級の警戒心と緊張感を持って望みます。
まずは係留されたボートで「点検」等の問題が出されます。
キャンプとアウトドアのネットショップ アーハーズHPより
3人一組で行われるため、後にやる方が有利と思われます。
しかしやる順番は必ずしも順番通りではないため、「運」にまかせるしかありません。
とは言え「点検」等の問題は序の口。私も含め全員余裕でパスします。他の二人は明らかに私よりも若い感じ。物覚えも良いのでしょう。
次はいよいよ実際の運転に入ります。
小型船舶実技試験のキモは「安全確認」。実は安全確認での減点がものすごく高いのだと実技講習の際にJACSボートライセンススクールの「湘南にいそう」先生に教わりました。
「運転がいくらうまくても安全確認ができていなければ落ちる」。車の教習所と同じですね。
すなわち、安全確認さえしっかりできていれば運転が少々ヘタでも受かるのです。自信を持って梶を切れば良いのです!
「変針します!左!後方!よし!」
「ゥオラァーーー!こんな荒れた状況で大きく梶を切るなァー!!」
「ヒィィィ!すいません…!」
いきなりの試験官激高!!
船内は一気に静まり返ります。アラフォーが今、年下二人が見ている前で怒られました。
受験者が共通認識を持った瞬間です。恐怖のデスツアーはすでに始まっていたのです。
初っぱなから激高された私のレバー(アクセル)を持つ手が震えます。
「レバーをそんな風に持たない!微調整を効かせる!!」
悪循環です。恐怖の連鎖が止まりません。
他の二人の緊張感もMAXに達しているのが運転で分かります。
しかしこのまま場に飲まれる訳にはいかない…!落ち着け…!落ち着け将来の賞金王…!!
何とか落ち着きを取り戻せてきました。
次は「蛇行」。この荒波での蛇行なんてやったことなどありません。
しかし、「ここは減点で良い…!減点上等だ!!」
気持ちを切り替え、回転数を規定の極限まで下げました。2500回転です。
0点を取るならダメ走行でいくらかでも取っておいた方が良いのです。
安パイでグダグダな蛇行旋回を見せたグリーン。次に繫げます。
難易度A「人命救助」の時間がやってきました。この強い波風の中で微妙な運転をしつつブイ(人)にぶつけてはならない。しかし自分の中では人命救助は得意分野なつもりです。
微速で溺れた人に見立てた「ブイ(浮き)」に接近します。
「待ってろ、今お前を助けてやるぞ!…ここだ!!」
レバーを停止位置に戻してプロペラを止める!しかし風で流されコントロールが効かない!!
「止まれっ!止まれーっ!!」
「ああァーーーっ!!」
ゴッ…!
・・・・・
船体に強打されたブイを拾い上げるグリーン。
これは「溺れてパニックになっている人」の頭に船体を打ちつけて気絶させてからゆっくりと救い上げるという高等技術ですね。
高等技術なのですが試験ではおすすめできません。0点ですから。
こんなヤツに救助される人は災難です。溺死と打撲死、ダブルで死の恐怖が迫ってくる訳ですからね。
しかしこの強風で他の二人も救助失敗!コンディションの厳しさを物語っています。
「コンディションが悪い日は試験官もちゃんと考慮してくれるから大丈夫!」JACSボートライセンススクールの「湘南にいそう」先生の顔が浮かびました。
そうだ、大丈夫!操艇技術では落とされない…はず!
他の部分での得点を狙います。
次は安パイ問題、船上でコンパスを使っての方位確認。目標物にコンパスを合わせて方位を読み上げるだけでクリアです。猿でもできる加点確定問題ですね。
キャンプとアウトドアのネットショップ アーハーズHPより
私の番です。
目標物の煙突に合わせてコンパスを合わせる。それだけ。
…しかし!目盛りを計る赤い印が見えない…!?
どこだ!どこだァーーー!赤い印ぃーーー!
体を左右にくねらせもだえ打つように赤い印を探します!
しかし見つからない!そもそもこのコンパスは赤い印などないのか!?
それならば適当なところで数値を読み上げるしかない!いくらか点数はもらえるかも…!いくぞっ…!
「ひゃ…」
「時間です!終了!」
しまったァーーーっ!激痛です!0点!!
こんな猿レベルの事ができなかったなんて…。大きく落胆しました。
テンションガタ落ちのまま、最強の難関「着岸・離岸」に望みます。
強風と波がある中での着岸は圧倒的難易度を誇ります。
しかしホーム「荒波の江戸川」の着岸を見事こなしてきた私です。ここで終わるわけにはいかない…!
幸いにも二人が先にやってくれたので風と波の塩梅が読めました。しかも右舷着岸、左舷着岸と二方向からやってくれたのでどちらでも感覚が分かりました。
「みんなの想い、今受け取ったぞ!この着岸にオラの全てを賭ける…!」
微速でマリーナに接近。停止地点直前でハンドルを切り船体を真横に。しかし風が船体の右後方から押し込んでくる…!
試験官「流れる…!もっと船体を止めた方がいいかっ…!?」
「いや、いけるっ!入れーーーっ!!」
・・・・・
決めましたーーー!ノーミスで着岸を決めました!!勝ったのです!鬼試験官のプレッシャーに我々は打ち勝ったのです!!
最後の「係留・解らん(船のロープを解く)」もノーミスでクリア。大きなミスはいくつかありましたが、合格の望みはあるはずです。
やるだけはやった…。船から降りると足がガクガクし、船酔いも合わさったことで桟橋の柱に持たれて何とかやり過ごした私。他の二人は平然と試験会場を去って行きました。やはり若さは素晴らしい。
実技試験を受けるみなさんにぜひお伝えしておきたいことが。
それは、「水分持ってけ」。水分を持っていったからなんとかなったものの、水分がなければ「死んで」いました。
水分の持ち込みはOKなので必ず持っていきましょう。私が忠告できるのはそれだけです。
1週間後、ネットに合格者の受験番号が載ります。
・・・・・
やりました!無事合格です!
ありがとうJACSボートライセンススクール!
ありがとう!「湘南にいそう」先生!
「しかし、ボートに乗る金はあるのか?」
・・・・・
〈皆様のご投票でもっと上に登りたい!よろしくお願いします!〉
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